内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました

「少し修行させて頂けませんでしょうか」

「修行?」
 お母さまは、首を傾げる。

「こちらに、少しの間だけでも同居させて頂けませんでしょうか。行儀見習いといいますか」

 正直、私も必死だ。
 悠に恥をきせるわけにはいかない。

「面倒かとは思うのですが……」

「あら、うれしい」

 え? いいの?
 お母さまはにこにこと、両手を合わせて楽しそうに微笑む。

「部屋はたくさんあるもの、いつでもいらっしゃいな」

「ありがとうございます!」
 

 悠の運転でつくばへ帰る道すがら、神林家のお邸で行儀見習いをする話をした。

「まじで?」
「え? だめ?」

「いや、ダメじゃないけど。無理してない?」

「え、なんで? むしろ結婚式でいきなり親戚の方たちに会う方が怖い」

 悠は「ああ、なるほど」と納得したようだ。

「じゃあ、結婚式やめようか。大変でしょ」
「もう、なんでそうなるの。私がやりたいの」

 ムッとして睨むと、悠は笑い出した。

「わかったわかった」

 どうも悠は私の本気度を理解していないらしい。
 もしくは私が逃げ出すのを心配しているのか。

 まぁ、信用ないのは仕方ないけれどね。
 一度逃げちゃったから。
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