内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 枝ぶりや花のつき具合をみて、あれこれ考えながらアレンジメントを作る時が一番楽しい。

 ひとりで作れるようになったのはごく最近だ。最初の頃はほとんど手直しされて、仕上がりは全くの別物になっていた。

 ようやく原型を留められるようになったのは、ここ半年くらいの話である。

「それで、その友だちって?」

「やけに突っ込みますね」

 店長の興味は消えないらしく、忙しく手を動かしながら聞いてくる。

「だって気になるじゃん。まったく男っけのない千絵ちゃんが、そんなにうれしそうにするなんてさ」

「恩人ですよ。前に言ったと思うんですけど――」

 言い淀む私の様子から察したらしく「ああ、あの話ね」と、店長は早くも涙ぐむ。

 私は十歳の頃、一時的に児童養護施設に預けられていた。

 当時の我が家は、母はすでに家にいなくて父と弟と三人暮らしだった。

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