内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 店長は私とは逆の考えなようで、恋人はいないと困るが、ひとりの方がいいという。

「心細くなったりしないですか?」

「その寂しさがいいの」

「えー、なんですかそれ。まあでも、店長は強いからなぁ」

 私はそこまで割り切れない。寂しさを乗り越えられずに、誰かと寄り添いたいと思ってしまう。

 恋をしないだけで、愛情には飢えているんだろう。

 父が私と弟をずっと変わらずに愛してくれたように、私もまた愛し愛されたい。

 そういうのは無理なのかな。

 家族は作りたいと思う反面、誰かと付き合いたいと思えない私は、どうしたらいいんだろう。

 恋さえできれば違ったかもしれない。

『ママね、恋しちゃったの』

 母はそう言って私たち家族を捨てた。

『ちーちゃんも大人になったらわかると思うの』

 だけど母の言う大人になったとき、私の心のどこを探しても恋なんてものはなかった。

 ママ。あなたが壊したのかもしれないね。

 私の心にもあったはずの、恋の種みたいなものを、根こそぎね。



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