内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 私と同じように。

「そういうのとは違うかな。相手はいても、その。もっと具体的な」

 悠は思いがけないセリフを吐いて、意味深に視線を落とす。

 相手がいても具体的な悩みってなんだろう。

「言うだけでも言ってみてよ。悠は命の恩人なんだから、私なんでも協力するよ?」

「命の恩人って、またそんなおおげさな」

 ハハッと悠は笑うが、私にとっては笑いごとじゃない。

「悠、私はね、あのときの絶望を今でも忘れられない」

 ちゃんと伝わるように、真剣に言った。

「悠が根気よく励ましてくれなかったら、きっとどうにかなっていたわ。おおげさなんかじゃないの」

 今でも時折、夢でうなされる。それくらい心に深く傷は残っている。だから。

 隣に座る悠の左腕を掴みながら訴えた。

「私じゃ役不足かもしれないけど、言ってみてよ」

 本当になんでもするのに。

「デートの練習とか?」

 いったいなんだろう。

「じゃあ、お願い聞いてくれる?」

「もちろん! 言って言って」

「セックスの相手、してくれるかな」
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