内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 今日は五時までの早番だ。後少しがんばれば、明日あさってはお休みである。ゆっくり休んで英気を養いマイナス思考をふきとばさなきゃ。

「千絵さーん、こっち頼んでいいですか、急ぎが入っちゃって」
「はーい」

 まずは目の前の作業に集中しよう。

「花束お願いしたいんですが」
「はい。ありがとうございます。ご希望はありますか?」

 幸い飛び込みのお客様も多く、忙しく動き回っているうちに時間になった。区切りのいいところで帰宅準備を整える。

 ワインでも買って帰ろうか。
 いっそ酔ってしまえばスコーンと寝てしまえるし。

「お先ー」

「お疲れ様です」

 そして、自転車にまたがろうとしたときだった。

「千絵」

「あっ。ど、どうしたの」

 なぜか、悠がいた。

「都合が悪くなったって言ってたからさ。直接会った方が早いと思って。今帰り?」

「そう」

「じゃ、行こう」と言って、悠は私の手から自転車を取り上げる。

 え、ちょっと待って。

「ゆ、悠、仕事は?」

「今日は終わり」

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