クールなご主人様は溺愛中
もう、一生見ることは無いと思ってた、いや見たくなかった人たちの姿。


「里奈?」


あ、しまった、隠れればよかった。


「うわ、本当だ。里奈だわ」


母と妹。


疎まれていた時の虚無感が襲う。


「あなた......」


妹が私と私の前にあるお店を交互に見る。


「いい服着て、なに、パーティにでも出るわけ?」


「......」


何も言い返さずに黙り込んでいると、2人は何かを察したようだった。


「里奈、戻ってこない?」


「え」


「そうよ、お姉ちゃん」


何事かと2人を見れば、何となく考えていることは想像がついた。


私が冬夜くんに気に入られてるのを察知したんだ。


私が家にいれば莫大な援助を貰える。


「ねえ、里奈?」


昔のような有無を言わせない目をした母に以前のような恐怖は感じない。
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