やわく、制服で隠して。
“七月二十五日。
棗くんに誘われて水族館に行った。水族館なんてずいぶん久しぶりだった。
棗くんには悪いけれど、二人で巨大な水槽を眺めている間も、私の頭の中は冬子ちゃんのことばかり。
隣に居るのが冬子ちゃんだったならどんなに素敵だろうと何度も考えた。
帰りにお土産物屋さんでイルカのキーホルダーを買った。冬子ちゃんへのお土産だ。
棗くんにお揃いでキーホルダー買おうよって言われたけれど、冬子ちゃんにお土産買うから、もうお小遣い無いよって言った。
本当は大丈夫だったけど、冬子ちゃんと二人だけのお揃いが良かったから。
そしたら棗くんは、ペンギンのキーホルダーを二つレジに持っていって、一個を私にくれた。
鞄に付けるキーホルダーが増えてしまった。”
深春が鞄をゴソゴソと探って、取り出した物を机の上に置いた。
カチャンと音を立てて置かれたそれは、キーホルダーだった。
一つがペンギン。それからイルカ。
イルカのキーホルダーは二つあった。
“八月一日。
アポ無しで冬子ちゃんのおうちに行った。
冬子ちゃんのおうちは、私の地元からも学校からも少し遠くにある。
電車とバスを使って一時間くらいでは行けるけれど、乗り継ぎに失敗したらもっと時間がかかってしまって、今日の私はそれだった。
冬子ちゃんはいつも学校へはお父さんが送ってくれているみたい。
たまに一人で帰っている姿も見るけれど、一緒に下校するって夢はまだ叶っていない。
アポ無しでおうちに行ったのは、冬子ちゃんの連絡先を知らないからだ。
おうちの電話番号なら連絡網に載っているけれど、ご両親が出たら緊張しちゃうし、それならサプライズも面白いかなって。
冬子ちゃんはちゃんと家に居てくれていた。
玄関で出迎えてくれた冬子ちゃんは予想通りすごく驚いた顔をしていて可愛かった。
「どうして?」って冬子ちゃんに聞かれて、私はイルカのキーホルダーを渡した。
昨日棗くんと水族館に行ったからお土産だよって。私とお揃いなのって言ったら、冬子ちゃんは「いらない」って言った。
何でかな。
冬子ちゃんはイルカが嫌いなのかな。
そのまま玄関のドアを閉めてしまって、もう出て来なかった。
もしかしたらって思って三十分くらい待ってみたけれど、やっぱり出て来なかった。
ちょっと怒っているみたいに見えたけれど、勘違いだよね?
もし怒っていたのなら、冬子ちゃんの好みを把握していなかった私が悪い。
ごめんね。冬子ちゃん。
ノースリーブの真っ白いワンピースを着ている冬子ちゃん。とっても可愛かった。”
棗くんに誘われて水族館に行った。水族館なんてずいぶん久しぶりだった。
棗くんには悪いけれど、二人で巨大な水槽を眺めている間も、私の頭の中は冬子ちゃんのことばかり。
隣に居るのが冬子ちゃんだったならどんなに素敵だろうと何度も考えた。
帰りにお土産物屋さんでイルカのキーホルダーを買った。冬子ちゃんへのお土産だ。
棗くんにお揃いでキーホルダー買おうよって言われたけれど、冬子ちゃんにお土産買うから、もうお小遣い無いよって言った。
本当は大丈夫だったけど、冬子ちゃんと二人だけのお揃いが良かったから。
そしたら棗くんは、ペンギンのキーホルダーを二つレジに持っていって、一個を私にくれた。
鞄に付けるキーホルダーが増えてしまった。”
深春が鞄をゴソゴソと探って、取り出した物を机の上に置いた。
カチャンと音を立てて置かれたそれは、キーホルダーだった。
一つがペンギン。それからイルカ。
イルカのキーホルダーは二つあった。
“八月一日。
アポ無しで冬子ちゃんのおうちに行った。
冬子ちゃんのおうちは、私の地元からも学校からも少し遠くにある。
電車とバスを使って一時間くらいでは行けるけれど、乗り継ぎに失敗したらもっと時間がかかってしまって、今日の私はそれだった。
冬子ちゃんはいつも学校へはお父さんが送ってくれているみたい。
たまに一人で帰っている姿も見るけれど、一緒に下校するって夢はまだ叶っていない。
アポ無しでおうちに行ったのは、冬子ちゃんの連絡先を知らないからだ。
おうちの電話番号なら連絡網に載っているけれど、ご両親が出たら緊張しちゃうし、それならサプライズも面白いかなって。
冬子ちゃんはちゃんと家に居てくれていた。
玄関で出迎えてくれた冬子ちゃんは予想通りすごく驚いた顔をしていて可愛かった。
「どうして?」って冬子ちゃんに聞かれて、私はイルカのキーホルダーを渡した。
昨日棗くんと水族館に行ったからお土産だよって。私とお揃いなのって言ったら、冬子ちゃんは「いらない」って言った。
何でかな。
冬子ちゃんはイルカが嫌いなのかな。
そのまま玄関のドアを閉めてしまって、もう出て来なかった。
もしかしたらって思って三十分くらい待ってみたけれど、やっぱり出て来なかった。
ちょっと怒っているみたいに見えたけれど、勘違いだよね?
もし怒っていたのなら、冬子ちゃんの好みを把握していなかった私が悪い。
ごめんね。冬子ちゃん。
ノースリーブの真っ白いワンピースを着ている冬子ちゃん。とっても可愛かった。”