やわく、制服で隠して。
一週間、私は学校を休んだ。

季節外れの風邪だと、パパが学校に電話をしてくれた。
ほとんどの時間を自分の部屋で過ごして、夜ご飯だけを食べにリビングに下りる。

ママは居ないことが多かった。
ご飯はパパがチャーハンとかオムライスとか作ってくれた。

「パパ、ごめんね。」

顔を合わせるたびにパパに謝った。
そのたびにパパは、まふゆのせいじゃないと繰り返した。

あっという間に土曜日の夜になって、今日は宅配のピザを取った。
久しぶりにジャンキーだなって、パパは嬉しそうだった。

絶対に無理しているように見えたけれど、私は何も言えずにピザを一切れ、胃袋に押し込んだ。

「お風呂入るよ。」

ピザを食べ終わって、パパがリビングを出た。
私はピザを二切れ乗せたお皿を持って、階段を上がった。

「ママ。」

声をかけたけれど、扉の向こうからママの返事は聞こえない。

「ママ、今日ね、パパが久しぶりにピザが食べたいって言うから、宅配ピザ頼んじゃった。美味しかったよ。ママの分もあるよ。…食べない?」

やっぱりママからの返事は無くて私はそれ以上話しかけるのをやめた。

あれから、ママとまともに口を聞いていない。
私に失望したんだって、はっきりと分かった。

「ここに置いて置くから。気が向いたら食べてね。」

扉の前にお皿を置いて、階段を下りた。

ママが扉を開けて出てきてくれるんじゃないか。
そう思って振り返ったけれど、ママが出てくる気配は無かった。
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