離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 それを口にするのはさすがに気恥ずかしくてやめておく。

「さっちゃんもまだまだ若いんだから。これからだよ?」

「私、もう二十六だよ。お母さんからすればまだ五歳くらいかもしれないけど」

 くすくす笑った母の隣を立ち、部屋に用意された漆塗りのテーブルに足を向ける。

 置いてあった緑茶のセットを取り出し、湯呑をふたつ並べた。

「飲むでしょ?」

「うん、ありがとう」

 ポットでお湯を沸かし、お茶の準備をしながら考える。

 一生を捧げられるほどの愛なんてきっと私には縁がない。

 代わり映えのない職場で出会いがあるとは思えないし、自分から積極的に求めもしない。

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