離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 恋愛に消極的な私が都合のいい愛を求めるのはなんだか図々しい気がする。

 本当は母のためにも結婚を考えた方がいいのだろう。

 だが、そういう考え方からの結婚もやはり図々しく失礼に思えた。

 お湯が沸くのを待っている間、茶櫃(ちゃびつ)に入っていた生八つ橋を手に取る。

 京都に来たという実感を改めて噛み締めながら口に運ぶと、上品なあんこの甘さが広がった。

「あ、まだお茶淹れてないのに」

「だってお腹空いちゃったんだもん。お母さんも食べる?」

「食べるー」

「なんだ、食べるんじゃん」

 いそいそと母が来るのを見て、畳の隅に並べられた座布団を敷いた。

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