離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 愛想のいい笑みを浮かべたままだが、今の発言に思うところがあったのは間違いない。

「ほら、さっさとしろよ」

 男性が私を引きずり出そうと腕を掴もうとした。

 それよりも早く、智秋が伸びてきた手を容赦なく叩き落とす。

「てめえ――」

「ええかげんにせえ」

 一瞬、誰が言ったのかわからず声の主を探してしまった。

 智秋が発したものだと気づいてぎょっとする。

「まだ騒ぐんならこっちも相応に対処したはりますよ」

 ついさっきまで穏やかに対処していた智秋の、はっきりと怒気と不快感を滲ませた方言に男性も驚いたようだった。

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