離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 甘い誘惑に抗えず目を閉じようとしたそのとき、ふえぇと楓香が泣き始めた。

「どうしたの、ふーちゃん。パパがおもしろくないって言うから悲しくなっちゃった?」

「え、俺のせい? ふーちゃんのことも大好きだから泣かなくていいんだよ」

 泣きじゃくる楓花をふたりがかりであやしているうちに、先ほどの空気はすっかり消えてなくなっていた。

「ちょっと庭を散歩してくる。咲良はもう少しゆっくりしてるといいよ。せっかく母さんがくれた休みを存分に味わわないとな」

 智秋が楓花を抱き上げて庭へ出ていった。

 部屋の中が静かになると、まだ激しく高鳴る鼓動に気付かされる。

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