離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
「俺はともかく、深冬だけは守らなきゃならないと思ったからな」

 智秋は自嘲気味にへらっと笑って顔を上げる。

 そして、私の手をほどき自分の左目の下を指差した。

「これがそのときの傷。あと少しズレてたら失明してたらしい」

 ずっと気になっていたが、なんとなく聞けずにいた傷の理由を知る。

「とかなんとか、いろいろ思い出して俺も頭が真っ白になった。気をつけるよ」

 飄々と言う智秋は、失敗を恥じるように呆れ交じりの笑みを浮かべている。

 その笑みに強い違和感を覚えて、言葉を発する前に彼を抱き締めていた。

「咲良?」

 驚いたように名前を呼ばれるが反応できない。

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