離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 私たちはというと、最上階のバーで夜景を眺めながらノンアルコールカクテルを乾杯している。

「向こうは最初からそのつもりだったのかもな」

 智秋が柑橘類をベースにしたカクテルをひと口飲む。

「お母さんたち? そうかもしれないね」

 私は炭酸が効いたりんごのカクテルにした。すりおろしたりんごの食感がしゅわしゅわという爽やかな炭酸の刺激に交ざって楽しい。

 思い出すのはつい先ほど、楓花を預けたときに母が残したひと言だ。

『恋人になる前に夫婦になったでしょ。今夜は恋人として過ごしたら?』

 横にいた智秋の気まずそうなはにかみが忘れられない。

「契約結婚の話、知ってたんだな」

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