離婚前夜に身ごもったら、御曹司の過保護な溺愛に捕まりました
 時間に余裕があればほかの従業員の手伝いをし、夕方になれば客室へのあいさつ回りを行う。

 それも最初の頃に比べれば慣れたつもりだが、智秋がいるときは逃げ出したくなった。

「畑山(はたやま)様、いつもたちばなにご宿泊いただきありがとうございます。実は先日結婚いたしまして、妻を紹介できればと」

 智秋は常連のお客様が訪れると必ず私の紹介をしてくれた。

 そこまではいいが、その先がよろしくない。

「へええ、ついにたちばなの若旦那も奥さんをねえ! やっぱりプロポーズは智秋くんからかい?」

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