首取り様1
気配にハッと顔を上げたとき、塀よりも高い黒い化け物が姿を見せていた。


黒い化け物は塀の上によじ登っていて、今にもこちら側に降りてきそうだ。


「くるならきやがれ!」


バッドを構えて敵をにらみつける。


黒い化け物は言葉が理解できるかのように塀から飛び降りた。


そのまま一気に間合いを詰めてくる。


敵のすごいところはこの動きだ。


とても人間では追いつくことができない速さ。


まばたきをしている間に敵は攻撃できる大勢に入っている。


けれど、今回はこちらも敵の姿を確認してからの余裕があった。


敵が道路へおりてくるときにはすでにバッドを構え、そして降りてくると同時に振りかぶっていたのだ。


確かな手応えを感じた。


バッドを通して手に伝わってくる衝撃は間違いなく相手にヒットした感触だった。


黒い化け物は「ギャッ!」と短い悲鳴を上げて逆側の民家の壁に吹っ飛んだ。


「お前なんかの相手をしている暇はねぇんだよ!」


慎也は黒い化け物が動けなくなるまでバッドで殴打し、ようやく足を前に進めた。
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