首取り様1
「いいね、やろうよ慎也」


「佳奈がそう言うならいいけど」


そんな言い方をしながらもまんざらではなさそうな表情だ。


慎也からの了承が下りると大輔たちは慎也よりも先に玄関へ上がっていた。


「おじゃましまーす!」


と、誰もいない家に声をかけている。


「お前ら、ちゃんと靴揃えろよ!」


乱雑に散らかって行く玄関を見て慎也は顔をしかめる。


「慎也だって普段は気にしないくせに」


隣で佳奈に突っ込まれて慎也はむくれてしまった。


本当はこうしてにぎやかに友人たちと過ごすのが楽しいのだ。


夜は化け物と戦って首を探し、昼間は家に一人きり。


ここ数日間慎也がそんな生活をしてきたことを知っていて、みんなも心配していたのだ。


「よかったね」


佳奈に言われて慎也はやっぱりそっぽを向いて「別に」と気のない返事をする。


だけどその横顔が嬉しそうに笑っているのを佳奈は知っていたのだった。
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