首取り様2
見えなかった
ファミレスをから戻ってきた4人はみんな無言で重たい空気が周囲を包み込んでいた。


今頃大塚くんたちは地蔵へ到着したところだろうか。


なかったはずの地蔵がそこにあって、驚いているかもしれない。


しかもそのうちの2体は慎也と美樹の顔をしているのだ。


驚かないはずがない。


春香はそれでも自分たちのしたことは間違っていなかったと信じていた。


自分の身を守るための正当防衛なのだ。


「大丈夫か?」


部屋の隅でうずくまって座っていた春香に大輔が温かいココアを差し出してくれた。


「ありがとう。これ、買ってきてくれたの?」


カップに入っているココアは淹れたてのように温かい。


「いや、食器棚にあったやつだ」


そう言って笑う大輔に春香もつられて笑った。


今日も暑い日だけれど冷房の効いた室内は十分に涼しい。


温かいココアを一口飲むとホッと安心できる気がした。
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