首取り様3
しかしその声は少しだけ震えていた。


目の前にいるのは自分たちと同じ人間なのに、黒い化け物のように見えてきてしまう。


そのくらい、彼らの考え方が理解できなかった。


「その地蔵についた首は友達のものでしょう? なんとも感じないの?」


今まで黙っていた春香が一歩前で踏み出して声を発した。


彼らの好き勝手な言動を我慢してきたけれど、ついに我慢しきれなくなったようだ。


「あぁ友達だ。だからなんだよ?」


「なんだよって……」


春香はそのまま言葉を失ってしまった。


首を無くした友達を放置していいのかと思ったけれど、そんな話しは通用しないのだとわかってしまった。


この3人組からすればこれは本当にただのゲームでしかなくて、リアルではないのかもしれない。


あんな夢を見させられているはずなのに、自分たちとは根本的に違いすぎる。


「もういい。話してても無駄みたいだから帰ろうよ」


春香が明宏へ向けて言う。


しかし明宏はすぐに動こうとはしなかった。
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