首取り様4
よし、これならいける。


佳奈は覚悟を決めて頷いた。


他の3人も頷きあう。


化け物が瞬間的に移動してきたその瞬間、4人は同時に走り出していた。


まるで体育祭のリレーのようだと佳奈は思った。


パンッ!という銃声と同時に走り出す。


一秒でも早く、隣を走るやつに追い抜かされないように全力で。


しかし、これにはゴールテープがなかった。


走っても走っても終わりはない。


時には道の目の前から化け物が出現して、それらを避けるために道を変えなければならなかった。


そうしている間に慎也の家はどんどん遠ざかっていく。


次の走者にバトンを渡すこともできない、終わりの見えないリレーだった。


「嘘だろ……」


走って走って、15分以上が経過したとき、大輔が小さな声でつぶやいて足を緩めた。


佳奈は前方を走っていた大輔に合わせて慌てて足にブレーキをかける。


「どうしたの?」


そう聞いて横から前方を確認したとき、絶句した。
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