首取り様4
春香は両足をばたつかせて抵抗している。


顔は真っ青で、悲鳴を上げ続けていた。


それを見てまだ首が湿られていないことを悟った。


大輔はまた奥歯を噛み締めて立ち上がる。


「春香!」


両手で高く持ち上げられていても、地蔵は人間と同じくらいの身長だ。


大輔が手を伸ばせば十分に届く位置にある。


しかしその瞬間、地蔵が両手に力を込めた。


春香の悲鳴が途絶え、両目が大きく見開かれる。


大きく開いた口は閉まらずに、声にならない声をほとばしり続ける。


「春香!!!」


大輔が地蔵の両腕にすがりついた。


その腕も石のように固くて冷たい。
< 16 / 135 >

この作品をシェア

pagetop