ゆびきりげんまん
とおい日のやくそく

「ここにまどを作ろうっと」


「じゃあ~、わたしはここに作るね」


 楽しい楽しい砂遊び。

 お母さんが迎えに来るまで延々と家や城を作った。


「でーきた!!」


 立派な砂の城が完成して、小学一年生の私は誇らしげにそれを見つめる。すると、一緒に城を作っていた男の子が、その城を小さな手で壊してしまった。


「あ〜! あおい君、どうしていつもこわしちゃうの? せっかくきれいだったのに……」


 私があおい君と呼んだ男の子は泣きそうな顔で私を見つめる。


「さらねえちゃん、もう一回。もう一回作ろう?」


 あおい君にこんな顔をされると、私は何も言えなくなってしまう。私はあおい君を安心させるように笑った。


「もう、しょうがないなあ。次はどんなの作る?」


 私の言葉にあおい君の顔がぱあっと明るくなる。


「いいの? おしろ! おっきなおしろ作ろ!」

「またあ? しかたないなあ!」

「こんどはね、たかいおしろを作ろうよ!」

「たかいおしろね!」




 いつもの公園。いつもの二人。

 可愛い可愛い二つ年下の男の子、あおい君。私の大切な男の子。

 この関係がいつか変わるなんて、幼い私は思ってもいなかったに違いない。

 これからもずっと一緒。永遠に私たちは変わらない。そう思っていたあの頃。






「あのね。ぼく、ゆめがあるの。さらねえちゃんにだけおしえてあげる。だれにもないしょだよ?」


 ある日、そう言ったあおい君。私は少しワクワクしながら耳を傾けた。そして、私はあおい君の夢を聞いた。

 私も自分の夢を告げる。その夢にあおい君は驚いた顔をして、顔を赤く染めた。


「やくそくね」


 私の言葉にあおい君は恥ずかしげに笑って頷く。


「やくそく」




『ゆびきりげんまんうそついたらはりせんぼんのーます! ゆびきった!』



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