彼は私を偏愛している
約束
「雛菜ー、写真撮ろう~」
「うん!」
「一緒に、みんなで撮ろう!」


1月◯日、成人式━━━━━━━

成人式を迎えた雛菜が、友人達と写真を撮り合っていた。

「おっ!よく撮れたね!」
隣にいた友人の古賀(こが) 瀬里(せり)が、嬉そうに言った。

「やだーこれ、私、顔大きく見えるー」
「いいじゃん!瀬里は、元から顔小さいんだから!」
「えー!雛菜の方が小さいじゃーん!」

「え?そ、そうかな?」
「雛菜は、その名の通り、全体的に小さいもんねー(笑)」

「可愛い~!!」

「雛菜ー」
「あ、頼廣(よりひろ)くん!」
「頼廣だー」
「俺達とも、一緒に撮ろうぜ!」
そこに、同じく友人の貝谷(かいたに) 頼廣が他の友人と共にやって来た。

「OKー!
…………行くよー!」

カシャッと音がして、みんなでの写真を撮った。

「おっ!よく撮れてんじゃん!」





そして、一方の亜舟━━━━━━━

「━━━━━━勿体ないなぁー」

亜舟は、亜舟の秘書で友人の保原(やすはら) 佐近(さこん)と休日出勤後の遅い昼食をとっていた。

煙草を吸いながら、コーヒーを飲んでいた二人。
ふと、佐近が呟く。

「何?」

「知らない人はいない程の財界の大物・阿久津財閥の御曹司で、今は代表取締役。
イケメンで、学生時代も成績はいつもトップ、売られた喧嘩は全て返り討ちにして、しかも亜舟自身は無傷で破壊的に喧嘩も強い。
全てにおいて、完璧な男」

「だから何!?急に!」

「なのに!無愛想で、冷淡」

「は?」

「そのせいで、せっかくのお前の良さが半減してるっつってんの!
ほら、勿体ないないだろ?」

「そう?」

「俺等さ、大学からの付き合いじゃん!」

「うん」

「その間亜舟、女をとっかえひっかえしてただろ?」

「うん」

「ずーっと、思ってたんだけど……」

「ん?」

「お前ってさ………」



「うん」










「本気で人を好きになったことあんの?」





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