彼は私を偏愛している
「あるよ」

「だろうなー
…………って…え!?あるの!?」

「うん」

「誰!?どんな子?実広(みひろ)?」

「は?実広?
……………そんなわけないでしょ!?
冗談やめてよ!!」

「でも、元カノじゃん!」



「━━━━━━あ、それよりも!もう行かなきゃ!」
スマホの時間を見て、煙草を灰皿に潰した亜舟。

「あ、実家?会長に呼ばれてるんだっけ?」

「ううん。そんなことよりも、もっと大切な用事!」

「ふーん…」


「今から、プロポーズしに行くんだ!」




「へぇー!頑張れよ!」
「うん!ありがとう!」


後ろ手に手を振りゆっくり去っていく、亜舟。


「………」
その後ろ姿を見つめる、佐近。


「━━━━━━プロポーズ!!!!?」





無愛想で、冷淡な亜舟。
その亜舟が、満面の笑みで向かう。


愛する人の所へ━━━━━━━


成人式会場前の広場。
一度立ち止まり、見渡した。

「フフ…やっと、僕のモノにできる!
長かったなぁー」

彼女を探す。

「あ、いた!」
と、愛しい彼女を見つける。

「ヒナ!!」
彼女に声をかける。

「━━━━━━亜舟…くん!?」

「ヒナ、約束、果たしにきたよ!」
驚きを隠せない彼女・相原 雛菜に、亜舟は満面の笑みで言った。

「嘘…ほんとに来てくれた…」
雛菜は信じられない思いで、亜舟を見ていた。


「スッゴい、イケメン…////」
「カッコいい~」
瀬里達が、声を揃えて言う。

「雛菜、こいつ誰?」
頼廣が耳打ちする。

「あ、幼なじみのお兄さん」

「違うでしょ?ヒナ。
僕達は、婚約してるんだから!」

「え?亜舟くん“あの”約束、覚えててくれたの?」



「当たり前でしょ?
僕は、ずっとこの日を待ってたんだよ?」

「亜舟く…」
「行こ?ヒナ。
今日は、ちょっと忙しいんだ!」
「うん…
瀬里ちゃん、頼廣くん達も、じゃあ…また大学で!」
小さく手を振り、亜舟の手を握った雛菜。
亜舟の車に乗り込んだ。


「ヒナ、成人おめでとう!」
雛菜を助手席に座らせ、運転席に乗り込んだ亜舟。
改めて雛菜に向き直り、微笑んだ。

「ありがとう!」
思わず、目が潤む雛菜。

「あ、泣いたらせっかくの化粧が崩れるよ?
とっても、綺麗なんだから!」
優しい目元を拭う、亜舟。

「うん…私、綺麗かな?」
「うん!スッゴく綺麗……惚れ直しちゃった////
ほんとは今すぐおもいっきり抱き締めてキスしたいけど、セットが崩れたらやだから必死に我慢してるんだよ?」

「約束……覚えててくれたなんて……というか、本気にしてくれてたなんて……
あんな、ただの子どもの口約束……」


「僕は、本気だったよ!」
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