彼は私を偏愛している
同棲
「ヒナ。
大学は、ちゃんと卒業しようね!」
「え?私、退学して専業主婦になるよ!」

「フフ…そう言ってくれるのは嬉しいけど、ダーメ!!
ちゃんと、卒業しなさい!」
運転をしながら、頭をポンポンと撫でてくる亜舟。

「はぁーい!」
「フフ…いい子!!」

「はっ!!?
てことは………私、あと二年も亜舟くんと一緒にいれないの?」
「ん?どうしてそうなるの?」
「だって、卒業しないとお嫁さんになれないんだよね?」

「うーん。結婚はヒナが卒業してからだけど、今日から僕達一緒に住むんだよ?」

「へ!?」

「だから今、伯父さん達のとこに挨拶に向かってるんだよ?まぁ、事前に話はしてたんだけどね!」
「え?」
「それから、僕の父さんと三人で食事。
それが終わったら、僕達の家に帰ろう!」


そして━━━━━

雛菜の伯父夫婦に挨拶し、亜舟の父親と食事後…
今は、亜舟の自宅である二人の同棲するマンションに向かっている。

「うー、食べ過ぎた……」
「フフ…着物着てるんだから、ほどほどにって言ったでしょ(笑)?」
「だって、しゃぶしゃぶ美味しかったんだもん!
肉が溶けたの!」
「そうだね。父さんもびっくりしてたなぁー」

「ハハハ…そうだよね……
おじさん、退いたよね……」

「ううん!綺麗になったって、褒めてたよ?」
「そう?」
「うん!父さんもヒナが娘になるってこと、凄く楽しみにしてたんだよ!」

「そっか……」
ふと、亜舟の父親の言葉を思い出す。

“雛菜、待ってたよ。
将来は、三人で暮らそうね!
雛菜は亜舟と一つになって、俺と亜舟に囲まれて生きていくんだよ!”

「あの言葉の意味、何だったんだろ……?」

「ん?ヒナ?」
「あ、ううん。何もない!」


そしてマンションに着き、駐車場に車を停める。
「はい!着いたよ!」
「うん!」

運転席を降りた亜舟が、助手席を開ける。
「ヒナ、手!」
「うん!」
亜舟の手を握ると、グッと引き寄せられた。
そのまま、抱き締められた。

「やっと、抱き締めることができる」
「うん…」
「もう、着崩れていいよね?」
「うん…」
「リップ…取れてもいい?」
「え?」

頬を包み込まれた。
「キス…したい……」

「うん…
━━━━━━ンンン……待って…苦し……」
急に貪られ、押し返す雛菜。

「ヒナの口唇…気持ちいい……
それに、顔…エロっ…!!」
雛菜の口唇をペロッと舐めて微笑む亜舟だった。
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