指先から溢れるほどの愛を
身長180センチを優に越える坂崎さんのスウェットを156センチの私が着ればブカブカのダボダボなのは当然で。
下は履くのを諦めざるを得なかった。
幸い上だけでも膝が隠れるくらいの長さがあったから良しとしたのだけど………。
私がお風呂に入っている間に着替えたのだろう、スウェット姿でリビングのドア横のキッチンにいた坂崎さんの艶っぽい眼差しが恥ずかし過ぎて俯く。
「……しかも、ミーコからオレと同じ匂いするとか、もうたまんない」
そりゃあシャンプーもボディソープも坂崎さんのものを使わせてもらったのだから同じ匂いがして当たり前だ。
なのにそんな当たり前のことをとても嬉しそうに言いながら私をぎゅっと抱きしめるものだから、もうこっちの方がたまらない。
だけど腕の中で真っ赤な顔をしてあたふたしている私なんてお構いなしに、坂崎さんは私の頭へ顔を埋めすんすんと鼻を鳴らしている。
「〜〜〜っ、ちょっ…………っ!さっ、坂崎さん………っ‼︎」
「ははっ!大丈夫。髪乾かすまでは我慢するから」
「なっ、なななななに言ってっ……⁉︎」
「ふはっ!顔真っ赤。はい、とりあえずこっち。ここ、座って」
あまりの動揺から盛大に吃ってしまえば、私の顔を覗き込んだ坂崎さんは吹き出して。
キッチンの向かいにある、ダイニングテーブルの向こうに配置されている黒い革張りの2人掛けソファーに私の手を引き連れて行く。