指先から溢れるほどの愛を
"ミーコのことになると自制が効かねーの、オレ"
"だからそういう覚悟、して来て"
その言葉がお店を出てからずっと私の頭の中をぐるぐる回っていて、実は心臓が壊れそうなくらいドキドキが止まらなくて。
だからマンションに着いて湯船にお湯が溜まるまでの間、
"……てっきり、C’est la vie御殿なるものでも建っているのかと思ってました"
"なにそれ"
"だって坂崎さん、熱中大陸にも出ちゃうような超売れっ子ヘアメイクアップアーティストだから"
"ふはっ、建ってねーよそんなもん。家なんて広過ぎても持て余すし、オレにはこれくらいがちょうどいい。つーか知ってたんだ、熱中大陸出てたの"
"はい、ばっちり録画もしました"
"うわー、やめて"
なんて、このドキドキが漏れ出ないように何とか平常心を保とうといつもの軽口を叩いてみたりしたのに。
あっさりダメ押ししてくるとかやめて欲しい本当に!