一途な淫魔の執着愛〜俺はお前しか一生抱かない〜

日和side

 午前七時、ガシャガシャと荒いクリームを泡立てる音。日和はパティシエとして勤めている【シュガーベール】で店の開店準備をしていた。


(何が淫魔よ! 何が婚約者よ! あのヤリチンめ!)


 昨日の出来事を考えれば考えるほどイラついて、考えれば考えるほど熱く身体が疼く。
 ――真田洸夜。
 あの後すぐに洸夜について調べた。調べたと言ってもハピフルのサイトを見ただけだが、かなりやり手の社長らしい。五年前に洸夜が社長に就任してから業績は鰻登り、ハピフルに登録している会員数も結婚相談所トップレベル。容姿端麗、周囲からの信頼も厚く、なんでそんな完璧な人が自分の事を好きと言っているのか理解できない。


(なんであいつとのエッチはあんなに気持ちいいのよ……私不感症だったはずなのに……本当に淫魔なのかな……淫魔なんて本当に存在するの?)


 クリームを泡立てる手は激しさを増す。


「おいおい、そんな乱暴に泡立てたらクリームが泣くぞ〜」
「あ、店長すいません。つい考え事してたら」


 シュガーベールの店長、西田健(にしだ たける)日和より二歳年上の三十二歳独身。日和の通っていた製菓学校での先輩だ。健にスカウトされ日和はシュガーベールにパティシエとして就職した。
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