一途な淫魔の執着愛〜俺はお前しか一生抱かない〜
 使った道具をしっかり油分が取れるよう洗い乾燥させる。道具がなければお菓子は作れない。道具を大事にする事も美味しいお菓子を作る為に大切な事だ。日和は毎日丁寧に道具を洗う。


「ひひひひひひひよりっ!!!」
「な、何!?」


 綾乃が勢いよく厨房に顔を出し興奮状態で日和を呼ぶ。


「イケメン! イケメンが日和の事を呼んでる! 何あの色気ムンムンのイケメンは!」


 はぁ? イケメンって誰の事? まさか元彼の太郎? いや、そしたら綾乃も見たことある失礼だがそこまでイケメンでは無かった。


(綾乃があんなにテンション上がってるってことはかなりイケメン? でもそんなイケメンの知り合いなんていないしなぁ)


 うーん誰だ? と数少ない男の知り合いを頭の中でぐるぐる思い出すが綾乃が興奮する程のイケメンが出てこない。


「お待たせ致しまし……えぇ!?」


 ビシッとまとめ上げられたブラウンの髪、ネイビーのスリーピーススーツをサラリと着こなした長身の男。吸い込まれそうな髪色と同じブラウンの瞳。


「よお、来てやったぞ」
「はあ!?」


 フンッと得意げにシュガーベールに現れた洸夜。来てやったぞって何!? この男もしかしてストーカーにでもなっちゃったの?


「はあ? って、婚約者の店に来たって良いだろう。それに俺は今日仕事の話をしに来たんだから」
「え、婚約者って日和っ、いつの間にこんなイケメンと婚約してたのよ!」


 婚約者と言うワードに食いつく綾乃。自分が聞きたいくらいだ。婚約者だなんてとんでもない。こいつは変態ヤリチン野郎だ。
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