一途な淫魔の執着愛〜俺はお前しか一生抱かない〜
「な、何を言ってるの? 冗談はやめて、もう戻らないと」


 男の人に身動きを封じられている恐怖からか手が、足が、カタカタと小刻みに震える。震える手をギュッと耐えるように拳にした。


「日和さん、冗談で自分が淫魔なことペラペラ人に話すと思う? ちゃーんと僕が淫魔だってことは黙っててくださいね」


 本当なんだ。悠夜は洸夜と同じ淫魔なんだ。洸夜のことでさえ淫魔なのか疑っていたのに、二人目の淫魔に出くわしてしまうとなんだか現実味が出てきてしまう。
 日和を睨み続ける瞳にさらに鋭利な刃物のような鋭さが加わった。刺されてしまんじゃないかと思うくらい鋭くて怖い。


「まぁ気づかなくて当然だよね。淫魔って言っても殆ど人間と変わらないし、自分から名乗らない限りは気づかなくて当たり前だよ。僕さぁ、どうしてもアイツが気に食わないんだよね」


 アイツとは……? もしかして洸夜のことだろうか。


「あ、アイツって……?」
「日和さんの近くにいつもいるじゃん。同じ淫魔なのにアイツばっかり欲しいもの手に入れてズルいじゃないですか。だからアイツの一番大切なもの貰うことにしたんです」


 ……大切なもの、とは。


「フェロモンは簡単に言えば媚薬のようなもん、たくさん使って脳まで痺れるくらいのセックスしてあげますよ。僕のことが忘れられないくらいにね」
「や、やめてっ! 悠夜さんどうしたの!? っつ――」


 両腕を捕み頭の上に抑え込まれた。悠夜は片腕だけで日和の両腕を抑え込んでしまう。普段ニコニコ子犬のように可愛くてもやはり男は男だ。軽々と日和を抑え込む。強く握られた手首が痛い、唇を押し当てられた。
 ――気持ち悪い。
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