一途な淫魔の執着愛〜俺はお前しか一生抱かない〜
「日和、ここにいて」


 そっと手を離し、洸夜は悠夜の目と鼻の先に立った。そして思いっきり悠夜を抱きしめた。苦しいくらいに、ギュッと。「やめろよ! 何すんだよ」と洸夜の胸の中で騒ぐ悠夜だが圧倒的に洸夜の方が体格も良く力も強いのか抜け出せずにもがいている。


「悠夜は寂しかったんだな。お前は全ての事情を知っていているのに知らずに生きてきた俺が憎いのは当たり前だ。多分俺もお前の立場だったら怒り狂ってたかもしれねぇ。でも、俺今少し嬉しいと思っちゃってるんだよ。そりゃ日和にしたことは一生許さねぇけど、自分に弟がいるなんて思ってもいなかったから、俺も親父が死んで一人だ。日和がいなかったら本当に孤独だったかもしれない。俺に家族がいたなんて、単純に嬉しいと思った。悠夜だけに苦しい思いをさせちまってごめんな」


 日和がいなければこんな風に優しく悠夜の存在を受け止めることが出来なかったと思う。
 もがいていた身体はゆっくりと動きを止め「くそったれ」と震える声でボソリと呟いた。


「でもな、お前は勘違いしてる。俺は女の身体は日和しか知らねぇし、これからも知ることは無い。日和に次何かしたら一発だけじゃすまねぇからな?」
「うるせーよ……」


 ズルッと鼻を啜る音が聞こえた。俯く顔を覗き込むとボロボロ涙を流している。

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