一途な淫魔の執着愛〜俺はお前しか一生抱かない〜

日和side


カチャン。
 後から静かにドアが閉まった音がした。
 広い部屋なのにテーブルとソファーしかない無機質な空間には日和と洸夜の息をする音しか聞こえない。いつも堂々としていて、凛としている大きな身体が今は小さく背筋も曲がり萎縮しながらもしっかりと日和を抱きしめてくれている。
 洸夜の「ごめんな」と、か細い声がスッと空間に吸い込まれた。


「大丈夫だから、気にしない――」
「馬鹿野郎! 大丈夫なわけないだろう!!!」


 初めて見る洸夜の涙に驚いた。自分のためにこの透き通った綺麗な涙をながしてくれているのだろうか。確かに悠夜とは和解して仲直りしたが、やっぱり悠夜に触れられたことを思い出すとブッルっと身体が恐怖で震えてしまう。必死に抑え込んでいるのが洸夜にはバレてしまっているのかもしれない。なら、もうこの胸に飛び込んでしまおうか。自分を好きだと言ってくれるこの大きな胸に泣きながらすがりたい。淫魔だからとか細かいことは考えずに、好きだとかんじたこの気持をぶつけてしまおうか……
 淫魔……フェロモン……
 悠夜の言っていたフェロモンって。洸夜はフェロモンとかいうものを自分に使っているのだろうか。だから、こんなにも洸夜に抱かれると気持ちいいの?

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