イジワルな君の一途で不器用な恋心
ツッコミを入れながらも、頭の中に2人を思い浮かべる。
“犬カフェ? わりぃ、先週市瀬さんと行ってきた。また今度誘って”
“こないだ古松さんとツーリングしてさ、地元案内してもらったんだよ。めちゃくちゃ楽しかった。俺1人だと絶対迷子になってたと思うから助かった〜”
「ほらぁ、やっぱり」
「……っ、でも、普通じゃない? ちょっと、寂しいなと思うのは」
マグカップに残ったキャラメルラテを飲み干して、荒ぶる心臓をおとなしくさせる。
そうだよ、一時期離れてたとはいえ、10年以上の仲なんだよ?
この感覚は、多分あれ。同級生ならまだしも、出会ったばかりの人間とくっつくなんて〜〜ってわなわな震えるやつ。
決して、雷夜に恋人ができてほしくないとかではない。
そう意固地になっていたけれど……。
「後輩への気持ちが大きいから気づきにくいだけで、目黒くんへの独占欲も少なからずあるんだよ、きっと」
「……そう、なのかな」
どこか納得できる部分もあり、首を横に振ることができなかった。