イジワルな君の一途で不器用な恋心
目標は達成したものの、やっぱりわずかな差で負けたのは悔しかった。
だけど、最後に新菜と一緒に戦うことができて楽しかった。
クラスメイトと先生からも労いの言葉をかけてもらって、立石くんに至っては、涙目で『ありがとう』って言ってもらえて。
優勝組と記念撮影までして、すごく幸せな1日だった。
みんなが喜ぶ姿を見て、頑張って良かったなって、心の底から思った。
けど……。
「卓球、したかった……っ」
口に出した途端、涙が頬を伝い落ちた。
泣くくらいならなんで譲ったの。さんざん確認したじゃん。
新菜が聞いたらこんな風に怒られそうだけど、やっぱりそれでもやりたかった。
実力不足でボロ負けしたとしても。
途中で足を痛めて1ゲームしかできなくなったとしても。
予選敗退して何1つクラスに貢献できなかったとしても。
本当はシャトルじゃなくて、ピンポン球を打ちたかった。