初恋を拗らせた幼馴染が婚姻届を持って溺甘淫らに求愛にやって来ました
「多産な家系で、子育てに慣れてるだろうと思って、結婚してやると言ってやっただけでも充分だろ? 一年経っても俺を敬わず、未だに妊娠しない女に騙された俺が何故、お前に優しくしなきゃならない。 いわば、俺のが被害者だろ」

 隆也さんの言葉に、私はジトーーーーッとした目を向ける。

(……知っていますか、隆也さん? 子供って言うのは、コウノトリが運んでくる訳じゃ無くて、やる事やらないと出来ないんですよ? )

 目の前にいる湯浅隆也は、一年前から私の婚約者だ。

 いや、ビジネスパートナーと言った方が良い。

 ポンコツな父が、良い投資話があると友人に騙されて、三千万の借金を負った。

 地道に働けば返せない額では無いが、子だくさん貧乏で、まだまだこれからお金の掛かる弟達がいる我が家には、かなりきつい金額。

 加えて、借金をした相手がガラの悪い悪徳業者だった為、有り得ない金利が追加され、みるみるうちに借金は膨らみ、連日、取り立てに怖い人が食堂や家に訪れ、ビクビクッとしていた。

「死んだ後、保険金を返済に充ててくれ」

 私と兄に問い詰められた父は、ポンコツな頭で考え抜いたらしく、そう提案したが、そもそも、貧乏なウチに毎月保険金を払える訳もなく、大した生命保険に入っていない。

「……父さん、知らないかも知れないけど、自殺じゃ保険金は下りないだけど?! 」

 眉毛と目をこれでもか!と、吊り上げ、怒り狂う私に、父は、悪びれずにヘラヘラ笑う。

「じゃ、死ぬの止めるわ」

「まともに働けやーーーーっ!! 」
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