初恋を拗らせた幼馴染が婚姻届を持って溺甘淫らに求愛にやって来ました
(ああぁぁっ……っ 実の親に売られるなんて…… ドナドナだ…… 私の意志なんて家族の為には、心の奥底に封印するしかないか…… )

 疲れ果てた私の脳内は、現実逃避で一杯になった。

(ああ……、誰か私を連れて逃げてくれ…… )


「ニコ、そんなふざけた婚約なんて、しなくていい! 」
「俺、もっとバイトするから、行くなよ」
「ニコ姉……、ここからいなくなったらやだよー…… 」

 兄弟達は、自分だけが犠牲になる事は無いと、言ってくれたけど、どう頑張っても、借金を返すのは無理だ。

 わかっているけど逃げ出したい。

 一度は荷物を纏め、夜中にコッソリと出て行こうと計画したが、幼い兄弟達の寝顔を見ると、心が痛み、どうしても一歩が踏み出せなかった。

 布団に頭まで潜り込んで、声を殺して朝まで泣いたのは私だけの秘密だ。

 一晩泣いて、心を決めた。

「よしっ! 」

 三千万だ! お金の為だと、これはバイトだと、割り切る事にした。

(せめて、優しい人であります様に…… )
 
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