初恋を拗らせた幼馴染が婚姻届を持って溺甘淫らに求愛にやって来ました
「な、な、な、それは……、まぁ、仕方ない。 お、お前にも少しは良い所もあったが、せ、せ、性……の、いや……せ、性……格の不一致じゃ、お互い辛いしな、仕方ないよ、な? 」

 片眉を上げて、口元を片方だけ吊り上げ、ぎこちなく笑いながら、バタバタと隆也さんと運命の人は店から出て行った。

 最後くらい、こんな意地悪言っても許されるよね? 

 落ち着く為に私はフウーッと、小さく息を吐いた。

 

「この辺の土地開発の事は知ってたけど、随分酷い事するなぁ。 大丈夫か、ニコちゃん? この店は俺たちにとって、本当に安らぎの場だからな、出来れば無くなって欲しくはないが……。 何かあったら、声掛けてくれ、微力ながら力になるからな」

「そうそう。 俺もニコちゃんの笑顔が見たくてここに通ってるんだからな。 店の修復でも何でも手伝うぞ」

「うう〜っ、みんなありがとう……っ」

 常連さんの優しさに、更にポロポロッと涙が溢れて来ると、三島さんは背中に回した手に更に力を入れて、ギュッと抱き締めた。

「す、すみません、わ、私……」

 皆んなに声を掛けられて、冷静さを取り戻した私は、常連さんとはいえ、よく知らない三島の腕に縋っている自分が、急に恥ずかしくなって、彼の腕から慌てて離れようと身体を引く。

 
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