素直になれないツンデレ王女はこわもて護衛騎士に恋をする。年の差20歳はダメですか?
5章 それぞれの決断

涙の果て


 脱水と心労からだろうと言われたが、ぼんやりとした頭は考えることを拒否した。

 体はどこが痛いというわけでもないのに数日経っても、起き上がるのが精一杯だった。

 入れ替わり、いろんな人がお見舞いに来てくれた。

 いつしか部屋中が花で溢れかえった。

 その中にはシリルからの花もあったようだ。

 しかしあの時の黄色い花のような感動はなく、何にも感じなくなっていた。


「ルチア様、どこか痛いところはございませんか?」


 メイが私を起き上がらせ、背中の後ろに枕を入れる。

 こうでもしないと、自分でもうまく座っていられないのだ。


「……心が……痛いわ、メイ」


 やっとのことで言葉を絞り出す。

 メイは私が数日ぶりに言葉を発したことに驚くと共に、大粒の涙を瞳に溜めていた。

 おそらくシリルの話はメイの耳にも入っているのだろう。


「メイが、このメイがずっと側におります。メイがずっとルチア様のことをお守りしますから。早くよくなってくださいませ」
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