イケメンを好きになってはイケません⁈
「こうして、杉本さんと何気なく話してること」
 森下くんはそう言って、嬉しそうに目を輝かせた。

「会社にいるときの杉本さんは、絶対人を寄せつけないぞっていうオーラを発してますからね」

「そんなことないけど」

「いや、ありますって。警戒してて、全身、棘だらけですよ。ハリネズミみたい。おれが話しかけても、いつだってそっけない答えしかかえってこないし」

 まあ、そうだよね。そんなふうに見られているよね、やっぱり。

 自分で意図してやっていることとはいえ、面と向かって言われるとちょっとだけショックかも。

「でも、いいですけどね。役得って感じするし」
「えっ?」

「だって、おれしか知らないわけじゃないですか。今みたいに棘を引っ込めてる杉本さんのことは。だから、思いっきり、棘、立てておいてくださいね。会社では」
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