丸いサイコロ
お気に入り

12.それがいわゆるお気に入り

 夜が更けたし、この辺りでは、今日、この時間になれば、走るバスも無いので、泊っていくことになった。食料などは、数日分用意されているらしい。用意がいいというよりも、やはり、彼女が住んでいるのか。

 まつりは当然のように、一番広い部屋を選んだ。
二番目の部屋はコウカさんが使っているし、ぼくは考えた末に、四番目の部屋を選んだ。ケイガちゃんは、三番目の部屋になった。


 鍵室からそれぞれの部屋の鍵をもらって、分かれる。四番目の鍵は、なぜだか、予備のものしかなかったので、少し不思議に思う。──誰かが借りている?
考えても仕方ないので、ぼくはとりあえず、自分の部屋を開けようと鍵を差し込んで回した。しかし、ドアノブが回らない。不思議に思って、もう一度鍵を差し込むと、開いた。


「ん──鍵が、かかって、なかった?」
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