丸いサイコロ
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「そうだよ……」
振り向くと、小さな女の子が、立っていた。頼りなさげに、彼女は、そこにさっきから居たはずなのに、なんだか消えてしまいそうに、儚かった。
そうだよ、と言ったきり、言葉はなかった。不安定な彼女は、どう切り出したものかと迷っているようにも見えた。俯いて、何かに耐えている。だからこそぼくは、質問をした。最初から、一番気になっていたことを。
「で──そろそろ、はっきり聞くけれど、きみは、その『姉』に当たる人を、本当は知らなかったんだよね? だからこそ、どっちでも良い言い方にしていたんだろ?」
そういうと、彼女ははっとしたように目を見開き、肩を震わせた。それから、ゆっくり目を閉じて、膝を抱えた。