溺愛体質な彼は甘く外堀を埋める。
知らない人の所にも行ける勇気はないし,先生に怒られることもあるかもしれない。

もういっちゃうのかなんて,せっかくなのにと沈んでしまう。

子供っぽい思考に気付き,「あ」と落ち込んだ。

こんなだから,凪はいつも私を妹みたいに見るのかもしれない。

婚約のことで何か言っても,また何か言ってるなって思ってるのかもしれない。



「僕,自販機って言ってきちゃったから。水がいるんだよね,だから……行く?」

「……いく。待ってて」



小銭を1枚握りしめて,私は凪だけを見て戻った。



「何してるの?」



千夏くんが唇を噛み締めて,凪が外ゆきの微笑みをのせて,お互い目を離さない。

結局,



「いかないの?」



と凪のクラスTシャツを軽く引っ張って,廊下へと促した。
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