桜舞う天使の羽~天才心臓外科医に心臓(ハート)を奪われました。


 次の日、美桜は熱を出して仕事を休んだ。

 ピピピッ……。

 電子体温計の音を聞き、わきから体温計を取り出し確認すると38.0℃を超えていた。

 はぁーー。

 やってしまった。

 昨日ブラウスを羽織ったまま玄関で泣き崩れ、気づくと朝になっていた。春になったと言っても、まだまだ夜は冷えるというのに、私の思考回路は停止しており、寒さも感じなかった。それほどまでにショックで、今後が不安になったのだ。

 正悟さんは私のこの傷を見たらどう思うんだろうか……。

 正悟さんにも逃げ出されたら私は……。

 怖い……。

 コホッコホッと咳をしながら、考えるのは正悟さんの事ばかり。熱でボーッとした脳内は正悟さんでいっぱいになった。

 会いたいよ……。

 病気で弱っている時ほど、人恋しくなってしまう。

 昨日自分で正悟さんを拒絶したというのに、虫の良い話なのだが正悟に会いたくて仕方がなかった。

 正悟さん……どうしてあんな態度をとってしまったんだろう。

 こんなに大好きなのに……。

 大好きなのに……。


 熱にうなされながら、美桜は夢の中へと落ちていった。





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