この政略結婚に、甘い蜜を
「ごめんね、朝ご飯簡単なものしか作れなくて」

そう言いながらティーカップに紅茶を零は注ぎ、華恋に差し出す。

「いえ、作ってくれてありがとうございます」

二人は椅子に座り、朝ご飯を食べ始める。サンドイッチはレタスがシャキシャキしていて、ハムの味もしっかりしていておいしい。スープも野菜がたくさん使われ、華恋の体を温めていく。

「……昨日は色々言いすぎたね。ごめん」

朝ご飯を食べている途中、零がその手を止めて言う。華恋は零が謝ったことに驚き、むせてしまう。

「どうして、零さんが謝るんですか?謝らなきゃいけないのは、私で……」

華恋が咳き込みながら言うと、零は立ち上がり、華恋の背中をさする。そして華恋の咳が落ち着くと、小さめの両手が零の大きな手で包まれた。

「怖がらせちゃったし、それに昨日は……その……無理にしちゃったから。……えっと、キス……」

零にそう言われ、華恋の顔に起きた時のように熱が集まる。華恋が「あっ……」と小さく呟くと、零に顔を覗き込まれてしまう。
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