この政略結婚に、甘い蜜を
「んで、誰からする?」

「いつもみたいにジャンケンで決めようぜ〜」

心から好きな人さえも受け入れたことのないこの体は、これから見知らぬ男性たちに奪われようとしている。華恋の頭の中に零の笑顔が浮かび、どうして勢い任せに家を飛び出して来てしまったのか後悔してしまう。

(零さん……助けて……!)

華恋の瞳から涙がこぼれ落ちた刹那、「ぎゃあ!」と男性の悲鳴が耳に届く。続いて他の男性の「誰だテメェは!!」という怒鳴り声が響いた。

「その人は僕の大切な妻だ!返してもらう!」

おとぎ話の王子様のようにピンチに駆け付けてくれたのは、華恋が恋をしている零だった。








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