この政略結婚に、甘い蜜を
一流料理人による豪華な食事も、高級ワインやウェディングケーキも、全てがあまりにも眩しく感じ、華恋はほとんど味を感じることができなった。



お色直しの時間になり、華恋と零は一旦退出する。お色直し用のドレスも零が選んでいたようで、「とてもお似合いです」とまたウェディングプランナーに褒められながら、華恋はカラードレスに着替える。

可愛らしい花がたくさんついた薄いピンクのドレスは、まるでおとぎ話に登場する妖精を思わせる。

「可愛い……」

自分には似合っていないと思いつつも、可愛いドレスに心が動いていく。着替えを済ませるとすでに零も着替え終えており、「とっても可愛い」と挙式前の時のように褒めてくれた。

「あ、ありがとうございます」

「やっぱり華恋はピンクが似合うね」

妖精みたいだ、とても綺麗、そう褒められるたびに華恋の中であの呪いが何度もかかる。モヤモヤした気持ちのまま披露宴会場に再び足を運べば、また大勢の拍手で出迎えられる。
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