この政略結婚に、甘い蜜を
呪いを思い出してしまえば、また冷めた気持ちに心は戻ってしまう。華恋は虚しい気持ちで窓の外に目を向ける。街がどんどん小さくなり、どこがどの街なのかもうわからない。

(あんなに華やかな結婚式をしたんだもの、新婚旅行も行かないと周りからよくない目で見られるのかもしれない。だからこの旅行に行くんだ)

これは愛のない政略結婚。お互いの利益を得るために互いの家が計画したもの。それを呪文のように心の中で呟き、華恋はCAが持って来てくれた紅茶に口をつける。

フライト中、零はたくさん話しかけてきたものの、華恋はうまく話せず、零は少し困ったような表情を浮かべてしまう。

「お食事はチキンかビーフ、どちらに致しますか?」

どこか気まずくなりかけた時、CAが声をかけてくれた。それにホッとしつつ、華恋は「チキンでお願いします」と答えるのだった。



何時間にも及ぶフライトの末、華恋と零はアメリカの地に降り立つ。入国手続きを済ませて空港を出ると、華恋の頬を風が撫でる。日本の湿った風とは全く違ったものだ。
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