この政略結婚に、甘い蜜を
「うわぁ、お姉ちゃん!そんな地味な格好で今日一緒に出かけるの?絶対嫌だから着替えてね〜」

大学に通っている花音は、いつも地味な服で髪も黒の華恋とは正反対だ。髪をピンク色に染め、耳に開けられたピアスホールには大きな金のピアスがつけられ、黒いリボンのついた可愛らしいワンピースを着ている。一言で言えば華やかだ。

「……私には、花音みたいな可愛い服は似合わないよ」

無理に笑顔を作り、華恋はミルクティーに口をつける。それをどこか不満そうに花音は見ていた。

「そんなこと言って、昔は可愛い服着ておしゃれしてたくせに」

過去に感じた痛みが蘇り、華恋は胸元を強く握り締める。花音の言う通り、中学生までは華恋も花音のように可愛い服を着て、メイクも練習していた。だが、中学生になってすぐに華恋はおしゃれをやめ、地味になっていったのだ。

俯く華恋に、父が「夕方には用事があるから、家に帰ってくるんだよ」と言い仕事に行くために席を立つ。母も見送りに行くために席を立ち、花音は隣でスマホをいじっていた。
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