【短編】色褪せない夢



お通夜やお葬式を終え、私は高校に上がるからという理由で一人暮らしを始めた。
親戚の中でも1人だけ私の素顔を知る母方のおじいちゃんが引き取ってくれる、という建前で。

高校は、普通の学校でもよかったんだけど、やっぱりウィッグやカラコンをつけている理由を理解してもらうための説明がめんどくさかった。

これは中学3年の夏のオープンキャンパスで感じたこと。

本当は県で1番偏差値の高い高校に行こうとしていたけれど、そこで出会ったとある1人の先生にいい顔をされず、帰り際にとんでもないことを耳打ちされた。

「風紀を乱す奴はこの学校にはいらない
お前が気安く来ていい場所だと思うな」

当時15歳の私にとっては苦しい言葉だった。


その話を両親にすると、両親の知り合いが理事長をやっているという高校への入学を勧められた。

あ、もちろん学力入試で入ったよ。
成績トップで通過したという話は、理事長から入学直前に知らされた。

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