【短編】色褪せない夢


それも1年の10月でみんな人が変わったように風当たりが強くなった。

元々学校の女の子たちにはいい顔をされていなかった。

冷沙のみんなはイケメンだったし、それぞれにファンクラブができるほど人気だからね。

それでも冷沙が常に一緒にいる手前、手を出せなかったみたいで、直接被害を受けたのは10月になってから。


だけど私、知ってるんだよ。

理事長が最後まで味方してくれたこと。
私なんかのために綺麗な涙を流してくれたこと。


おじいちゃんは私の学歴には拘らない、
一言で言うと変な人だった。

高校を辞めることに反対はされなかった。
やりたいことが明確に決まっていたからかな。


ちゃんと高卒の資格が取れたのはおじいちゃんと理事長のおかげ。

私は今、無事に大学生をやりながら、
この土地で農業をやっている。


花恋はというと、親戚の取り合いの末、
元々暮らしていた家の近所に住む父方の祖父母に引き取られることになった。


それから全然会っていなかったけれど、
再会したのは私が高校1年の10月とか、たしかそれくらいの時期。

あんなに素直で可愛かった妹は、すっかり変わり果てていた。

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